ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は有価証券化されるのか?
エルサルバドル政府はビットコインの法定通貨化の目的は、金融包摂を加速し、経済を活性化させ、雇用機会を開拓することにあると説明します。金融包摂とは、経済活動に必要な金融サービスを、差別なく、すべて人々が利用できるようにする社会的取り組みを意味します。中米には、銀行口座等を持てない人々も多く、スマートフォンと政府が用意したウォレットアプリさえあれば誰でもこうした金融サービスを利用することができるようになるメリットもあります。
その後、ビットコインは2020年5月に3回目の半減期を迎え、それを機に再び上昇傾向を見せて、1BTC=100万円近くまで戻します。そして、またもやビットコインは100万円前後の推移を続けます。
ビットコインをより便利にする技術関連の革新は、決済手段としてのビットコインの立ち位置を拡大するものです。ビットコインがバブルなのか、そうでないのかは、そんなに簡単な話ではありません。もちろん、楽観視はできないのですが、よく見かける「ビットコインはバブルである」といった意見や「ビットコインは崩壊する」といった断定的な意見には根拠がないことも知っておきましょう。あくまでもビットコインへの投資は、無理のない範囲で、自分自身の判断で行うことが大切であるということは、今後も代わりはありません。
エルサルバドル政府の思惑通りに自国にビットコインが普及するかどうかは不明ですが、自国の抱える多くの問題を解決するには、第三者に支配されていないビットコインは適しているともいえます。一方で価値が大幅に変動するビットコインを法定通貨に加えるのは、そう簡単ではないはずです。
エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用するというニュースは、好材料としてビットコインの価格を一時上昇させました。しかし、エルサルバドルが実際に法定通貨としてビットコインの採用を開始した2021年9月7日には、それを不安視する意見も少なくなく、エルサルバドルの多くの国民も不安があるという意見も聞かれました。こうした不安材料もあってビットコイン価格は1BTC=500万円台後半から400万円台後半へと100万円近く急落しました。これはイーサリアム(ETH)などアルトコインにも影響しました。
ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は有価証券化されるのか?
ビットコインの価格変動や売買のタイミングについて興味を持った方は、「ビットコインの買い時を見極めよう!チャートの見方や分析のしかた」もご参照ください。
しかし、その後、ビットコインの価格は回復しています。
機関投資家は、大口の取引がメインです。投資家の売りポジジョン、買いポジションの変化は、ビットコインの価格に大きく影響を与えます。
2019年5月になってビットコインは、1BTC=100万円近くまで急騰することが度々ありました。6月になって1BTC=100万円超が現実になると、その後は100万円前後を推移し続けます。
そうした状況が突如変わったのが、2020年の夏頃でした。ビットコインの価格は1BTC=100万円前後から、120万円、150万円と上昇するようになり、秋には200万円近くにまで上昇することがありました。
一時期は1BTC=2万円台になるも、2014年から2015年にかけては、世界中に暗号資産交換所が誕生するなど好材料も増え、2015年後半からビットコインの価格はゆっくりと上昇傾向を示すようになり、2016年後半からそのピッチが急加速しました。
エルサルバドルは、内戦が続き自国通貨が崩壊しました。そのため、法定通貨には米ドルが採用されており、今回は新たに法定通貨の一つとしてビットコインが加わったのです。大統領は、ビットコインの法定通貨化は「国と世界を結びつけ、経済発展を図ること」が目的であると強調します。これまで通り、米ドルが法定通貨であり続けることを約束し、ビットコインはあくまでもそれを補完するものであるとしています。
内戦後エルサルバドルは、自国での就労機会が少なく、多くは米国をはじめ海外における労働、雇用機会に依存しています。海外で働く国民は、自国の家族に対して高い手数料を企業に払ってお金を送金しています。送金手数料は、最大で50%にもなる悪質な業者も存在します。海外からの送金金額が国内総生産(GDP)の16%~20%にも及ぶエルサルバドルは、こうした状況にも手数料が安価なビットコインは有効な手段であると考えたようです。
ビットコインは2020年12月に1BTC=230万円超の高値を付け、2017年12月に記録した過去最高値を3年ぶりに更新しました。
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