問題は 海外の仮想通貨取引所に口座があった場合です
ネットバンキングやネット証券など、インターネット取り引きによる「デジタル遺産」も増えてきました(言葉は似ていますが、パソコンやクラウド上に保管されている写真やSNSアカウントなどの「デジタル遺品」とは異なります)。仮想通貨も、その「デジタル遺産」の一つです。
この場合、活発な市場が存在する(注1)仮想通貨については、活発な取引が行われることによって一定の相場が成立し、客観的な交換価値が明らかとなっていることから、外国通貨に準じて、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格(注2、3、4)によって評価します。
なお、「他の者に移転することができないようにする技術的措置」の例として、ロックアップコード(条件成立まで対象となる仮想通貨の移転を不能にする条件式)に一定期間の経過が条件として定められているものの設定をする措置や、仮想通貨の移転を可能にするために必要な条件として複数の秘密鍵を設定し、それらの秘密鍵を関係者以外の者を含む複数の者でそれぞれ管理する措置が挙げられている。
国税庁は20日、「法人税基本通達等の一部改正について」と題する法令解釈通達を公表した。その中で、企業が自社で発行した暗号資産(仮想通貨)について、条件付きで時価評価の対象外とすることが定められた。
資金決済法(令和2(2020)年5月1日施行)の改正により、「仮想通貨」は「暗号資産」へと呼称が改められました。そのため、金融庁や国税庁では「暗号資産」という呼び方を使用しています。
日本銀行によると、「暗号資産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において、次の性質をもつものと定義されています。
なお、活発な市場が存在しない仮想通貨の場合には、客観的な交換価値を示す一定の相場が成立していないため、その仮想通貨の内容や性質、取引実態等を勘案し個別に評価します(注5)。
誰しも自分が死亡する時は予測できませんが、「そろそろ相続について考えよう」となったら、仮想通貨は国内の取引所や販売所に移したほうが無難かもしれません。相続人のためを思うなら、現金化して生前贈与するという方法も考えられます。
被相続人(亡くなった方)の口座が国内の仮想通貨取引所や販売所にあるなら、IDやパスワードがわからなくても慌てることはありません。前項のように法定相続人としての手続きをきちんと踏めば、暗号資産交換業者は方法をアドバイスしてくれます。
4 納税義務者が複数の仮想通貨交換業者で取引を行っている場合には、納税義務者の選択した仮想通 貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価して差し支えありません。
問題は、海外の仮想通貨取引所に口座があった場合です。海外取引所はプライベートキー(秘密鍵)が必要な場合もありますし、外国語を駆使しながらの相続手続きは、相続人にとってかなりの負担となります。
ビットコインやイーサリウムなどの仮想通貨の相続は、相続税や所得税の納税、確定申告や場合によっては準確定申告もしなければいけないなど、相続人にとっては負担を感じることが多いかもしれません。また、デジタル遺産は被相続人ご本人でないとわからないことが多いため、厄介に感じる相続人の方も多いようです。
発行した企業が発行時から継続的に保有しており、一定の譲渡制限が設けられている仮想通貨が時価評価の対象から外されることとなった。
仮想通貨の評価方法については、評価通達に定めがないことから、評価通達5((評価方法の 定めのない財産の評価))の定めに基づき、評価通達に定める評価方法に準じて評価することとなります。
一方、活発な市場が存在しない仮想通貨については、原価法(取得単価×期末数量)により評価した金額とし、評価損益はその事業年度の損益には算入されません。
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