金融商品取引業者は4つの類型に区分されています
「金融商品取引法・3・問題集1(金融商品取引業・金融商品取引業者とは)」
・ 投資運用会社(X)が、自ら、投資家(A)に対して、自己が設定・運用する投資信託(法2条1項10号)の投資勧誘を行う場合(自己募集等(法2条8項7号イ))、第二種金融商品取引業の登録が必要となります(法28条2項1号、29条)。これに対して、当該投資信託の投資勧誘(募集又は私募の取扱い(法2条8項9号))を第一種金融商品取引業者である販売会社(B)に委託し、自らは勧誘行為を行わない場合は、投資勧誘に係る登録は不要となります。自己募集等や募集・私募の取扱いについては(参考1)(1)(注3)もご参照ください。
投資信託受益証券の自己募集(私募及び募集)は、事実上、投資運用業である投信委託業務の付帯業務(投信直販)と見られています。また、通貨関連市場デリバティブ取引等に関しては、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針V-2-2-1法令等遵守態勢の通り、市場デリバティブ取引業者が、通貨関連市場デリバティブ取引等に関し顧客から金銭の預託を受ける場合には、当該行為が有価証券等管理業務に該当するため、第一種金融商品取引業の登録が必要であることから、通常は第一種金融商品取引業の登録を受けて業務を行っています。
このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。<プロフィール>川崎善徳。慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。
ファンドの運用者が、投資運用業の登録を受けている場合には、主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に投資するファンドも、第二種金融商品取引業者が組成・販売することができます。ベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、PEファンド、信託受益権化された不動産のGKTKの販売等です。逆に言えば、これら運用業務に原則として投資運用業の登録が必要なため、第二種金融商品取引業だけでは、原則としてベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、PEファンド、信託受益権化された不動産のGKTK等は、組成することはできません。
JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。
市場デリバティブ取引や投資信託受益証券の自己募集のようにマイナーな業態はあえて無視して、第二種金融商品取引業者を分類すると、まずは「ファンドの二種」と「信託受益権の二種」に大別することができます。ここで、あえて無視する理由は、市場デリバティブ取引や投資信託受益証券の自己募集等の典型以外の第二種金融商品取引業の業態は、第二種金融商品取引業のみでは成立しにくいからであり、他の項目に併せて説明したほうが適切だからです。
なお、ファンドを第二種金融商品取引業者が募集(募集又は私募の取扱)するものの、そのファンドの発行者(匿名組合の営業者等)は第二種金融商品取引業に登録していSPCなどの場合、そのSPCなどの行為も、募集又は私募(7号業務)に該当し、双方に第二種金融商品取引業登録が必要なのかという問い合わせを受けることがあります。
「ファンドの二種」には、無数の形態がありますが、「主として」、すなわち運用財産の 50%超を、有価証券(株式、債券等)又はデリバティブ取引に係る権利(外国為替証拠金取引、日経平均先物取引等)に投資をすることがないファンドの場合には、商品投資規制法や不動産特定共同事業法等の他法令で規制されている事業でなければ、第二種金融商品取引業に登録することにより、第二種金融商品取引業者のみで適法にファンドを自己募集及び運用することが可能です。
金融商品取引業者は4つの類型に区分されています。
もっとも、これとはやや角度が異なる論点として、事実上社員として勤務するものの、その契約形態は雇用契約ではなく業務委託契約(いわゆる業務委託社員)とすることができないかという質問を頂くことがよくあります。金融商品取引業者における営業部門の業務委託は、業務委託の受託者が無登録営業を構成すると解されますので、法令に違反することは明らかですが、コンプライアンスや内部監査等の間接部門は、実務上、業務委託契約による業務委託社員となっている例は散見されます。
・ また、ファンドの投資勧誘(募集又は私募の取扱い(法2条8項9号))を国内の第一種金融商品取引業者である販売会社(C)に委託し、自らは勧誘行為を行わない場合は、投資運用会社(X)(及び管理会社(A))は投資勧誘について登録を受ける必要はありません。
令和3年時点でも、当事務所の知る限り、プロ向け投資運用業に伴うケースを除き、ファンドの第二種金融商品取引業者において、コンプライアンスを外部委託で登録が認められた例はありませんでしたし、当局に照会した際も、同様の回答を得ています。
登録要: 第二種金融商品取引業。ただし、投資勧誘を第一種金融商品取引業者である販売会社(B)に委託して行う場合は、登録不要。
開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。
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