暗号資産 税制改正 2024
外為法は、1949年(昭和24年)に、「外国為替及び外国貿易管理法」として制定されましたが、当時の我が国経済を取り巻く環境を反映して、「対外取引原則禁止」の建前となっていました。 その後、1980年(昭和55年)の改正において、対外取引を原則自由とする法体系に改められ、1998年(平成10年)の改正では、事前の許可・届出制度を原則として廃止するとともに、外国為替公認銀行制度、両替商制度を廃止する等、自由で迅速な内外取引が行えるよう、欧米先進諸国並みの対外取引環境の整備が図られました。この時の改正では、国際約束を履行するため必要があると認めるときに加えて、国際平和のための国際的な努力に寄与するため特に必要があると認めるときにも経済制裁等の措置を講ずることが可能となりました。 2001年9月の米国における同時多発テロ事件の発生以後、国際社会においてテロ資金対策が重大な課題となり、これを受けて2002年(平成14年)5月には、金融機関等による顧客本人確認を義務化する等の改正が行われました。 また、2004年(平成16年)2月には、近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において対応措置を講ずべきことを決定することができることとし、閣議決定が行われたときは、主務大臣が支払等について許可等を受ける義務を課することができるようにする等の改正が行われました。 2017年(平成29年)10月の改正では、安全保障の観点から、国の安全に関する投資について、無届け等で対内直接投資等を行った外国投資家に株式売却等の命令を行うことができる制度を創設したほか、外国投資家による他の外国投資家から非上場株式を取得する行為を審査付事前届出制の対象とする等、対内直接投資等規制の強化を行いました。 2019年(令和元年)11月には、日本経済の健全な発展に寄与する対内直接投資を一層促進するとともに、国の安全等を損なうおそれがある投資に適切に対応していくことを目的とし、事前届出免除制度を導入し、事前届出の対象を見直す等の改正を行いました。 2022年(令和4年)4月には、支払規制及び資本取引規制をより一層効果的なものとするため、暗号資産に関する取引を資本取引規制の対象とするとともに、暗号資産交換業者に資産凍結措置に係る確認義務を課す等の措置を講ずる等の改正を行いました。同年12月には、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)の改正により、電子決済手段(いわゆるステーブルコイン)及び電子決済手段等取引業者が新設されることを受け、電子決済手段に関する取引を資本取引規制の対象とするとともに、電子決済手段等取引業者に資産凍結措置に係る確認義務を課す等の措置を講ずる等の改正を行いました。また、資産凍結措置の実効性をより一層確保するため、金融機関等に対し、外国為替取引等取扱業者遵守基準に従って資産凍結措置を適切に実施する態勢整備義務を課す等の措置を講ずる等の改正を行いました。 このように、外為法は、国内の規制緩和の流れ、国際金融のグローバル化、国際情勢の変化等を背景とした累次にわたる改正を経て現在に至っています。
i 発行者以外の法人が保有する暗号資産の期末時価評価課税 今回の改正では自己が保有する暗号資産について対象から除くこととされたが、発行者以外の法人が保有する暗号資産についても短期売買目的でないものは対象から除くのが適切である。2022年8月にJCBA・JVCEAが公表した2023年度税制改正要望においても同様の考えを示している。
「Crypto Asset Reporting Framework(暗号資産に係る報告枠組み)」がOECDで議論され昨年の10月にG20に報告された。これは、各国の税務当局が自国の暗号資産取引業者に非居住者の暗号資産取引に係る情報を報告させ、その情報を非居住者が居住する国の税務当局に提供するという国際的な税務情報の交換の仕組みである。我が国においても2024年度税制改正において国内実施のためのルールが制定されると考えられる。
ii 個人の分離課税 個人が保有する暗号資産に対する課税について、暗号資産の取引により生じた損益は20%の税率による申告分離課税の対象とし、暗号資産にかかる損失の所得金額からの繰越控除を引き続き要望したい。岸田政権における資産所得倍増や貯蓄から投資へといった政策目的からは、適切な投資対象であれば上場株式等といった他の金融商品と同様に分離課税の対象となることもあり得る。適切な投資対象である暗号資産とそうでない暗号資産を区別し、適格な暗号資産は分離課税の対象とすることも考えられる。
同庁は国内法人の暗号資産の期末時価評価課税に関して見直しを要望(経済産業省も共同)。
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