暗号資産の支払 移転 保管は電子的に行われます
法定通貨に交換した時点でまとめて課税し、その中間の暗号資産同士の取引には課税されないのであれば、支払手段として今よりは使いやすくなります。暗号資産同士の交換に課税された場合、まだ法定通貨に変えていないのにもかかわらず、法定通貨で納税しなければいけなくなるので、納税資金の問題も出てきます。
暗号資産はボラティリティが高いので、百万単位~億単位の儲けが発生する可能性もあります。よって、暗号資産の儲けにかかる税率の高さを痛感する個人が続出したのでしょう。暗号資産の譲渡による所得に個人の税金がかからない国もありますから、日本から脱出する日本人が続出したのも事実です。
人によっては、すごい頻度で暗号資産同士を交換したり、暗号資産でNFTを購入したりしています。そのすべての取引や時価を記録して申告しなければいけないと考えると、かなりの手間と費用がかかります。場合によっては申告しない人、税理士に頼んでも正確な申告書を作成できない人も出てくるでしょう。
現在、損失(赤字)を翌年以降に繰り越すことができるのは、事業から生ずる所得、株式譲渡やFXの所得などに限定されています。繰越期間は翌年以降3年間です。この損失の繰越控除は、雑所得に係る損失については認められていません。国税庁は、暗号資産の譲渡による所得は雑所得という分類に入ると考えているため、暗号資産についてはこの損失の繰越控除の適用を認めていません。
ただ、暗号資産周りは、その利用方法、仕組み、長所・短所も含めて一般の方には非常にわかりにくいものですし、度重なるハッキング事件などの影響もあり、世間の暗号資産のイメージはよくないと思いますので、税制改正に影響力をもつ方々の理解や納得を得ることは簡単ではないでしょう。一般の国民の理解や納得を得ることはさらに難しいと思われます。
先ほど述べた、日本における個人の暗号資産取引に関する現行の取扱いについての第1の問題点と関係する話です。
第1に、暗号資産による支払時や他の暗号資産との交換時に税金がかかることです。
暗号資産はあくまで電子的なものですから、硬貨や紙幣のように物理的に存在するわけではありません。暗号資産の支払、移転、保管は電子的に行われます。
ただし、実際には、暗号資産の損益計算ソフトがそのような課税方法に簡単に対応できるのかなどの問題があるようです。
この点については、私も参加している業界団体であるJCBA(一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会)の税制部会において、2022年8月に「2023年度税制改正に関する要望書」を公表しています。
特に、個人の暗号資産の取引に関わる課税については、総合課税最大55%から分離課税20%への見直しが盛り込まれている。また、暗号資産同士の交換による損益を非課税とすることで、税務申告上の負担を軽減するねらい。
その上で、現状の税制度が暗号資産投資や確定申告を抑制する一因となっており、ひいては税収機会の損失につながっている可能性が示唆されたという見解を示しています。
ただし、暗号資産は基本的に法定通貨ではないので、支払手段として受け入れるかは受け手次第です。つまり、あるお店が販売した商品の代金として、ビットコインでの支払を受け入れるかどうかは、そのお店次第ということになります。
(1)法人が事業年度末において有する暗号資産のうち、時価評価により評価損益を計上するものの範囲8から次の要件に該当する暗号資産が除外されます。
2023年度税制改正における暗号資産関連の税制改正のうち主なものは、一定の自己発行暗号資産が期末時価評価課税の対象から除かれたことである。2022年12月23日に閣議決定された令和5年度税制改正の大綱には次のように記載されている。
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