金融庁がホワイトリストに入れる審査の内容(項目)を整理します
なお、暗号資産交換業は、金融庁暗号資産モニタリング室が地方財務局と一体となって連携しつつも、事実上、直接規制監督しているところが金融商品取引業者と異なります。 財務局監理の中小の金融商品取引業者にとって、金融庁はやや縁遠い存在ですが、暗号資産交換業者は、例え地方財務局長登録の業者であっても、金融庁と頻繁に連絡を取って業務を遂行する必要があり、また新規登録の申請も、基本的には金融庁が直接審査をすることになります。
前記のように、仮想通貨の上場のためには、現実的に金融庁の審査が必要です。
この審査の法律的な理由は何でしょうか。
まず、新規の仮想通貨交換業者登録では、利用者保護などの判断材料として審査されるのは分かります。
登録済みの業者が後から扱いコインを追加するケースでは、形式的には届出で済むので金融庁はコインの審査をすることができません。しかし、適切でないコインを扱っている(上場した)場合、利用者保護の対策をとっていないことになり、金融庁が行政処分をすることは理論的にあり得ます。
結論として、事後的な扱いコインの追加(上場)についても実質的な金融庁の審査がなされるということになっているのです。
この実質的なコインの審査は、法律上の名称がないので、俗に『認可』と呼ぶこともあります。
また、『認可』されたコイン(のリスト)のことをホワイトリストと呼んでいます。
◎金融庁ウェブサイトでは、ICOの利用者及び事業者に対する注意喚起を掲載しています。
仮想通貨交換所ではビットコインを始めとして、いろいろなコイン(仮想通貨)の取引が行われています。
ところで、ハードフォークやICOによって新たなコインが誕生することがあります。詳しくはこちら|ビットコインのハードフォーク・HFコインのリスクと仮想通貨交換業者による扱い詳しくはこちら|ICO(新たな仮想通貨の発行・販売)に関する日本の法規制(全体)
そして、新たなコインが仮想通貨交換所で取引され始めることもあります。
このことを、証券取引所で株式の取引が始まることになぞらえて、上場と呼んでいます。
仮想通貨の上場については、資金決済法や金融庁の運用によって一定のハードルがあります。
本記事では、仮想通貨の上場について説明します。
前記のように、仮想通貨交換業者が新コインを扱うには、金融庁の審査や承諾を得ることは不要です。
しかし、現実には、金融庁は届出前に相談することを要請しています。
国内取引所の中にはセキュリティ面が脆弱だったり、金融庁の定める基準に達していない所も多くあります。そのような取引所で取引を始めてしまうと利用者の仮想通貨が消失してしまう等といったリスクもあります。また大手の取引所でもまだ登録が完了していない取引所もあります。
仮想通貨交換業者の登録制度とは簡単にいうと、国内取引所の金融庁への登録に関する制度のことです。改正資金決済法(仮想通貨法)という法律によって国内取引所は金融庁への登録が義務化されることになりました。
前記のホワイトリストに入っているコインは、既にコインとしては金融庁が認めているものです。
そして、ホワイトリストに入っていないトークンについては、新たに金融庁が審査して『認可』してはじめてホワイトリストに入る(上場できる)のです。
金融庁がホワイトリストに入れる審査の内容(項目)を整理します。
まず、仮想通貨の定義に該当することは大前提です。その上で、前記のような適切性を審査します。ガイドラインで審査の項目が示されています。要するにユーザー(ホルダー)が不当な損失を受けることがないようなものであると判断できる必要があるのです。
前記のように、新たなコインの上場の判断について、ガイドラインで審査項目自体は示されています。
しかし、最終的に適切かどうか、つまり利用者保護に欠けることがないか、という判断がはっきりできるとは限りません。むしろ、数多くの種類の仮想通貨について、適切かどうかを明確に判断できないものがほとんどだと思います。
このような事情があるので、前記のように、金融庁としても、極力、業界団体として検討して統一的な判断をすることを希望しているのでしょう。
いずれにしても、ホワイトリストにない新規コインの上場の際は、金融庁にしっかりした資料を揃えて適切性が認められるような説明をする必要があります。
どのような理由でホワイトリスト入りするのか、金融庁は具体的な条件を明記しているわけではありません。
仮想通貨交換業者に関するメインの規制である資金決済法には、新規コインの取引開始に関する手続が規定されています。
それは、登録上の『扱うコイン』に新コインを追加するという手続です。
これは、売買サービスの提供開始後(上場後)に届出をするだけで足ります。
法律上は、事前に金融庁の審査が必要、というようなことはありません。
暗号資産交換業者に対して金融庁は、取り扱う暗号資産の詳細な説明を求め、消費者保護や業務の適正かつ確実な遂行の確保の観点から、暗号資産交換業者が取り扱うことが適切かを判断しています。
金融庁が、『認可』したコインは、登録済みの仮想通貨交換業者の一覧の中の『取り扱う仮想通貨』の欄に記載されているものということになります。
特定のトークンを、既存の登録済み暗号資産交換業者に取り扱ってもらう場合、届出プロセスの中で、金融庁の事実上の審査があります。こうしたプロセスでは、個別の暗号資産の適切性や健全性を、個別具体的に疎明する必要があります。
一方で登録が完了している取引所は、少なくとも金融庁の定める基準をクリアしているため、利用者は、これらの取引所で取引を始めることによって取引所に関するリスクを最小限に抑えることができるます。
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