このトレンドの中で富裕層はさらなる資産の拡張を追求している

バイナリーオプション

まず 一代で資産を築いた富裕層 「セルフメイドリッチ」だ

b) 収益性を向上させるデジタルツールの導入は必須。しかしその担い手であるアドバイザーをデジタルに適応できる人材へと変容させられるかが事業成功のカギとなる。アフルエント層以上のビジネスでは、顧客が使う資産運用ポータルだけでなく、バンカーのアドバイス品質向上を可能にする営業支援ツールやポートフォリオ・リスク分析ツールの導入が主流となる。また顧客データベース(CRM)もマス層版の流用ではなく富裕層ビジネスに適応させる必要がある。しかし職人気質のプライベートバンカーをデジタルに適応させるのは困難とも言える。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進の効果を最大化させるためには、インフラ投資と並行して現場の行動様式の変革も検討する必要がある。

現在、富裕層マネーはマイナス金利の影響を受け、行き場をなくした状態にあるようです。日本国債で手堅い運用を好む今までのスタイルから、徐々にグローバル投資へと視野を広げざるを得ないとされ、海外のプライベートバンク各社も市場拡大を狙った動きを活発化させています。
また、企業オーナーの超富裕層と富裕層の資産運用には、「生前贈与」が選択肢として積極的に検討されるとみられています。「NRI富裕層アンケート調査(2016年)」の結果からも、生前贈与を積極的に行う傾向にあることが分かります。

筆者の経験上、ストックリッチの富裕層は、消費スタイルは比較的地味で、一般人と大差がなく、慎ましやかに生活している印象だ。このタイプが多いのは、不動産オーナー(地主)やリタイアメント層(シルバーリッチ)だ(「6. 富裕層の主な属性」で後述)。

まず、一代で資産を築いた富裕層、「セルフメイドリッチ」だ。創業社長は、セルフメイドリッチの代表格と言える。

しかし、いずれの金融機関も、依然として最適なウェルスマネジメント事業のビジネスモデルを模索する段階にある。本レポートでは、まず富裕層の顧客属性や金融機関への期待値について解説し、ウェルスマネジメント事業におけるビジネスモデルの方向性や今後の要点について示す。

同調査における全世帯の保有資産額は合計1,554兆円で、富裕層は全体の資産の約21.4%を保有していることになる。これに対して富裕層の世帯率はわずか約2.4%なので、いかに富裕層に富が集中しているかがわかる。

金融機関が当セグメントにアプローチするうえで必要になるのは、自社と接点のあるターゲット富裕層を分析し具体的なペルソナを描いたうえで、顧客接点、アドバイスモデル、商品構成を組み替えられる柔軟な営業組織とオペレーティングモデルを構築することである。

3つめのタイプは「親リッチ」だ。本人はあまり資産を保有していないが、親が富裕層であり、いずれは親の資産を相続して、富裕層に仲間入りすることが確実視されている人だ。

不動産オーナー(地主)にも富裕層は多い。典型的なストックリッチタイプだ。

先述のとおり、日本における富裕層の世帯数や保有資産は、増加傾向にある。その理由は、主に2つの理由が想定される。

一般的に「医師=お金持ち」というイメージがあるが、勤務医は、高収入であることは多いものの、富裕層である確率はさほど高くない。お金持ちというイメージが当てはまるのは、開業医のほうだ。特に筆者の経験上、医療法人オーナーはかなりの確率で富裕層と言える。

同調査の定義による富裕層は124万世帯、超富裕層は8.7万世帯なので、日本における富裕層は132.7万世帯になる。同調査の母数(全世帯数)は5,402.3万世帯なので、富裕層世帯率は約2.4%だ。つまり、50世帯に1世帯以上は富裕層、という計算になる。

もうひとつのタイプは、代々(もしくは親から)の資産を引き継ぐ形で富裕層になった「バトンタッチリッチ」だ。2代目社長や3代目社長は、バトンタッチリッチの代表格だ。

本人と配偶者とで1億円以上の金融資産を保有する企業オーナーのうち、「度々、生前贈与をしている」割合は22%、「度々ではないが、生前贈与をしたことがある」が21%となり、合わせて43%が生前贈与を行ったことがあるとしています。
また、生前贈与を実施したことはないが、「関心はある(14%)」と「やや関心がある(19%)」を合わせると、積極的に生前贈与を検討する富裕層の割合は7割を超え、今後、企業オーナーがリタイアする前に生前贈与を行う動きが活発化するとみられます。

富裕層と貧困層の二極化というグローバルトレンドは、かつて一億総中流と呼ばれた日本にとっても、もはや対岸の火事ではなく、国内において着実に進行している。いわゆるK字経済の進行は、コロナ禍を経て、富裕層の資産のさらなる拡張、都市部および限定的な地方部の資産価値高騰、特定の職種への富の集中など多様な形で現出しつつある。このトレンドの中で富裕層はさらなる資産の拡張を追求している。このことは、金融機関の目線から見ると、これまで以上に富裕層向けのサービス事業を本格化していくべき時期が到来していることを意味している。

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