金商法違反 無登録
また、別件から波及する捜査も無視できません。極端な例では、家庭内暴力を最初の契機として、警察に金融商品取引業の無登録営業が立件され、罰金刑に処された事案を見たことがあります。
いわゆる、外国証券会社(FX業者を含まない)は、国内に拠点を有しない無登録の外国証券業者であっても、例外的に勧誘をすることなく、あるいは第一種金融商品取引業者による代理又は媒介により、国内にある者の注文を受けて外国からその者を相手方として有価証券関連業のうち一定の行為(金融商品取引法第58条の2及び金融商品取引法施行令第17条の3)を行うことについては許容されています。
さらに、無登録での金集め、すなわち海外ファンドや事業投資の募集その他利殖事案のように、第二種金融商品取引業及び投資運用業の無登録営業が疑われる事案も多く見られます。また、こうしたスキームに、自称コイン、トークン、ブロックチェーンが絡むと、暗号資産交換業の無登録営業の可能性も出てきます。
無登録営業がよく見られる類型として、ひとつは海外FX関連です。海外FX業者が居住者に対してインターネット取引を提供するケース、これらのIBとして総客するケース、これに付帯して、PAMM・MAMM等の取引や、自動売買・システムトレード等のサービスを提供するケースなどがあります。
しかしながら、登録を受けないと行うことができない業務を行った場合、無登録営業で金融商品取引法違反を構成することは、いずれも共通です。
さらに、同第187条では、無登録営業を行っている疑いがある事業者に対して、当局は、報告命令を発したり、業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査することが可能とされており、この条文に基づき、登録を受けている金融商品取引業者や適格機関投資家等特例業務届出者等をはじめとする登録・届出業者でなくとも、証券取引等監視委員会及び財務局の臨店検査が行われる場合があります。
米連邦捜査局(FBI)に在籍していたなどとかたり、マッチングアプリで知り合った女性らから無登録で投資を募ったとして、愛知県警は25日、千葉県山武市、自営業の男(72)を金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で逮捕したと発表した。逮捕は24日。
無登録営業をしたとしても、お金を返していれば問題にならないのではないか、投資家からクレームがなければ問題にはならないのではないか、税金を払えばいいのではないかと質問を受けることがあります。
確信犯的に無登録営業を行うのは論外です。
また、投資助言・代理業も無登録営業が多い業態です。近年、投資顧問サービスを確信犯的に無登録で大規模に行い、捜査当局に立件されたケースもあります。また、システムトレードやツール等の販売や、オンラインサロン等に関しても、無登録で行われることの多い類型です。
また、証券取引等監視委員会は、無登録業者に対して臨店検査を実施する権限があります。無登録業者に対する検査を通じて金融当局が把握した情報は、必要に応じて警察に提供されており、また悪質な事案、被害額の大きい事案では、前記のように刑事告発を行う場合もあります。
また、無登録営業を行った際には、無登録で金融商品取引業を行うものとして、金融庁のホームページで公開されます。そうなると金融機関等の反社会的勢力のリストや信用情報機関のリストに「反社会的勢力」として登録されるとされています。
財務局・金融庁・証券取引等監視委員会は、無登録営業を行う事業者の情報を常に収集しており、いずれも一般から情報提供を受付しているほか、ネット上の情報も監視しています。そのため、ホームページ等でFXや投資顧問等のサービスを無登録で提供している旨を表示すると、早期の段階で当局から警告される可能性があります。
いずれにせよ、家宅捜索から逮捕に至り、罰金、執行猶予はもちろん、実刑で服役している方も、無登録営業をする者には珍しくありません。新聞報道では、交通事故等と同じく、ごく断片的にしか報道されていないため、可視化されていないだけです。
無登録営業を実際に行うことだけではなく、金融商品取引法上の登録を得ずに、金融商品取引業を行う旨の表示等をすること自体、法律で禁止されています。そのため、ホームページを作って公表した時点で、顧客が一人もいなくても法令違反を構成します。悪意がなく、将来、登録を取得した際に向けてサイトを準備するための、いわゆる「テストサイト」であっても、公開すれば金融商品取引法違反を構成しますので、気を付ける必要があります。
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